前回のブログから一年近く空いてしまいました・・・昨年の慢性腰痛の項で記載した仙腸関節痛について、当院での取り組みについて記載します。
仙腸関節とは
仙腸関節は《せんちょうかんせつ》と呼びます。その仙腸関節は骨盤の骨である仙骨(せんこつ)と腸骨(ちょうこつ)の間にある関節で、周囲の靭帯により強固に連結されています。仙腸関節は大きく可動する肩や膝の関節とは違い、3~5mmというわずかな動きで関節の機能を果たしています。
仙腸関節の痛み
中腰での作業、不用意な動作、お尻周りの筋肉が固くなり関節が動きにくくなるや長時間の座り姿勢などにより関節に負荷がかかることで痛みが発生します。また、女性であれば妊娠経過で胎児の発育と共に骨盤が広がることで仙腸関節に痛みが伴うことがあります。出産後も痛みが継続する場合があります。
片側もしくは両側の臀部周辺、股関節や下肢に痛みが多くみられます。腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症による坐骨神経痛に似た部位の痛みのため、坐骨神経痛として治療される場合があります。しかし、関節と神経の痛みでは痛み治療のアプローチが違うため、神経痛として治療が継続されると症状が改善しません。
診断と治療
仙腸関節による痛みは、レントゲン、CTやMRIなどによる画像検査では、診断は困難です。故に、坐骨神経痛として診断はされるものの、画像検査では問題なく、痛みが継続するといった方もおられます。《画像検査上は問題なかったが坐骨神経痛があり、お尻や股関節周囲が痛く、足が組みにくい》となると仙腸関節痛が疑われます。
当院での治療の流れは、仙腸関節を圧迫し、痛みが誘発されれば、仙腸関節痛を疑い、診断的&治療目的にレントゲン透視下に仙腸関節ブロックを施行しています。仙腸関節ブロック後に症状が軽減すれば、仙腸関節痛と診断します。その後は、仙腸関節ブロックを繰り返すのではなく、仙腸関節の緊張を緩和させることを目的として、理学療法士によるセルフストレッチ指導を行っています。注射が苦手な方には、仙腸関節ブロックは施行せず、痛みの軽減まで時間はかかりますが、セルフストレッチ指導を行っています。